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総合消費者物価も生鮮食品を除いた消費者物価も、2007年2月からの8カ月間は前年同月比マイナスである。
2008年5月からの6カ月間は一パーセントから2パーセント台に上昇したが、それは原油の急騰が続いたせいである。 結局、2006年3月から2009年3月までの21年間の平均インフレ率は、総合と生いま述べた点については、インフレ目標採用国の金融政策と日銀のそれを比較する際に再び取り上げることにする。
日本の技術革新が諸外国ほどではなかったため、日本の潜在成長率は低下したという研究が多いのである。 日銀の目標はゼロ・インフレではないか。
日銀は量的緩和政策を消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ.パーセント以上となるまで継続すると約束し、2006年3月より4ヵ月前と3ヵ月の2005年2月と12月のインフレ率が0・一パーセントになったのを見て、量的緩和を解除した。 食品を除いた消費者物価がともに0・5パーセント、米FRBが金融政策において重視している食料品とエネルギーを除いたコア・インフレ率はマイナス0・2パーセントだった。
原油価格の高騰と下落の影響をうけた2008年以降を除くと、平均インフレ率(2003年21月から20007年12月まで)は総合消費者物価では0・17パーセント、生鮮食品を除いた消費者物価では0・07パーセントである。 以上から、日銀が中長期的に目標としているインフレ率は、日銀が考える「物価の安定」である0・パーセントから2パーセントの範囲の下限の0パーセントであるといえるであろう。
リーマン・ショック後、実際のインフレ率が低下し始め、2009年2月から5月にかけては前年同月比(除く生鮮食品)で、マイナス0・一パーセントからマイナス1・一パーセントへとマイナス幅が拡大した。 しかし、日銀は日本経済がデフレに陥りつつあることを一向に気にしていないようである。
一方、日銀のインフレに対する警戒感は極めて強い。 すでに述べたとおり、1989年5月の利上げ開始の理由もインフレ警戒であった。

しかし、当時インフレ率が2パーセント台に上昇したのは消費税導入のせいであった。 税金の導入でインフレ率が上がっても、それは金融引き締め政策で抑制すべき対象になるインフレではない。
日銀がいかにインフレを恐れているかは、1990年代終わりから2000年代初め頃の、「日銀はデフレからの脱却のために、長期国債の購入額を増やせ」という主張に対する日銀のきわめて強い反発によく現れている。 例えば、H日銀総裁は「中央銀行の立場で国債を引き受けるとか、長期国債をどんどん買うというようなことは、常識を逸したご意見ではないか。
昭和7年(1932年)に高橋是清蔵相が満州事変の時に長期国債を日銀が引き受けることを決めて、その後軍国主義になり、戦争に負けて終戦処理になり、その都度日本銀行がお札を刷って、国庫の要求に応じて資金を出していったそういうことが戦後のハイパーインフレとなった、私は昭和13年に日本銀行に入行したから、あの時の辛さを十分知っている。 こういうことをしてはいけないということもこの頃痛いほど分かった」(1999年2月12日総裁記者会見)と述べている。
日本銀行百年史は、「国債の本行引受け方式の実施」は、「本行百年の歴史における最大の失敗」であると述べている程である。 しかし、T蔵相は1936年からは国債の日銀引き受けをやめ、軍事費を中心とする歳出を削減しようとして、青年将校に暗殺されたのである。
T蔵相が暗殺されたため、国債の日銀引き受けが続き、その結果、インフレ率が大幅に上昇し、戦後、物価統制令が効かなくなって、ハイパーインフレになったのである。 つまり、ハイパーインフレの原因は軍部の専横とそれを止められなかった政府と国会にある。
H発言はこの事実を全く無デフレを恐れず、インフレを極度に恐れる日銀の金融政策は、早すぎる利上げをもたらす。 この早すぎる利上げに象徴されるように、諸外国に比べて低い物価上昇率をもたらす引き締め気味の金融政策は、デフレと過度の円高をもたらす要因になっている。

述べている。 かつての量的緩和時代も現在の経済危機に当たっても、日銀の長期国債買い入れ増大の主張に対しては、右のH発言と同様の反論が、日銀ばかりでなく、マスコミや一部のエコノミストからも繰り返されるのが実情である。
これは、「自己の主張のためであるなら、歴史の事実を曲げてもかまわない。 どうせ、多くの人は歴史を知らないのだから」という態度である。
日銀の金融政策の真の目標が「ゼロ.インフレ」であることは、日銀のホームページに示された「日本銀行法改正の理念『独立性』と『透明性』」からもうかがえる。 それは、金融政策の独立性について、「過去の各国の歴史でも、中央銀行の金融政策には判刻しかし、中央銀行がデフレ・バイアスのかかった金融政策を運営したために、大恐慌をもたらした歴史も認識しておかなければ、金融政策はバランスを欠いたものになる。
ここでは、日銀はなぜ利上げを急ぐのかを検討した。 その結果、「日銀は金融政策を運営するに当たって、デフレを恐れず、インフレを恐れる度合いが極めて強いからである」という結論に達した。
次では、こうした日銀の金融政策運営を生み出した母である「日銀の独立性」に係わる問題を検討しよう。 「購買力平価が金融政策の足かせになっている」という安達氏の「円の足かせ仮説」が説得性を持つのは、日銀が暗黙のうちに目指している「中長期的な物価の安定」がゼロ・インフレだからではないであろうか。
なぜならば、中長期的にゼロ.インフレを目標とする日銀の金融政策は、購買力平価を上回るほどの円安になると、利上げに転ずる金融政策と整合的であると考えられるからである。 諸外国に比べた低物価上昇率、さらに、デフレと過度の円高こそが日本の長期経済停滞をもたらし、内需を萎縮させ、外需に大きく依存する経済を作り出している主たる原因である、と考えられる。
東側にある道路は日銀通りと呼ばれている新日銀法における日銀の「独立性」1998年4月に施行された新日銀法の改正理念は、日銀の「独立性」と「透明性」であった。 前に日銀はなぜ利上げを急ぐのかを検討した。
ここではこの日銀の金融政策運営と深くかかわっている金融政策の「独立性」と「透明性」のうち、独立性について検討しよう。 透明性については、次章で検討する。
そのうちの「目標設定の独立性」については、新日銀法は日銀の理念または目的として、「物価の安定」と「信用秩序の維持」を規定しているが、物価の安定の具体的な中身の決定は日銀の判断に任せている。 中央銀行の独立性という場合、1中央銀行が金融政策の目標を政府から独立に設定できる、という独立性と、2その目標達成のための手段を、中央銀行が政府から独立に選択できる、という独立性の2つがある。

以下では、1を「目標設定の独立性」と呼び、2を「政策手段選択の独立性」と呼ぼう。


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